EC サイトのカゴ落ちを防ぐ方法|購入直前の離脱を減らす施策
結論
EC サイトのカゴ落ちは決済手続きの複雑さと追加コストへの不満が主な原因であり、購入プロセスの簡素化と疑問解消の仕組みを導入することで、カート離脱率を大幅に下げることができます。

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カートに入れたのに買われない、その損失を止める
EC サイトを運営していると、カートに商品を入れたまま購入に至らないユーザーの多さに驚くことがあります。アクセス解析を見ると、カートページまでは来ているのに、そこから決済完了に進む人が予想以上に少ない。この「カゴ落ち」は、多くの EC 事業者が抱える共通の悩みです。
結論から述べると、カゴ落ちの主な原因は「決済手続きの複雑さ」と「想定外のコスト(送料、手数料)」にあります。この二つを解消するだけでも、カート離脱率は大きく改善できます。さらに、購入直前の疑問を解消する仕組みを加えることで、より多くのユーザーを購入完了まで導くことができます。
この記事では、EC サイトのカゴ落ちを防ぐための具体的な施策を解説していきます。離脱の原因分析から、実践的な改善方法まで、売上向上につながるノウハウをお伝えします。
カゴ落ちの現状と原因を把握する
カゴ落ち対策を始める前に、まず現状を正確に把握することが重要です。自社の EC サイトでどの程度のカゴ落ちが発生しているのか、そしてその原因は何なのかを理解しましょう。
Baymard Institute の調査によると、EC サイトにおける平均的なカート離脱率は約 70% に達しています。つまり、カートに商品を入れた 10 人のうち 7 人は購入に至らないということです。
この数字を見ると、カゴ落ちがいかに大きな機会損失を生んでいるかがわかります。逆に言えば、カゴ落ち率を改善することで、同じ集客数でも売上を大きく伸ばせる可能性があるということです。
カゴ落ちの主な原因を整理すると、以下のようになります。
| 原因 | 割合(参考値) |
|---|---|
| 送料や手数料が予想より高い | 48% |
| アカウント作成を求められた | 24% |
| 決済手続きが複雑すぎる | 22% |
| 合計金額が事前にわからない | 18% |
| サイトの信頼性に不安を感じた | 17% |
これらの原因を一つずつ解消していくことが、カゴ落ち率の改善につながります。
送料や追加コストを明確に表示する
カゴ落ちの最大の原因は、送料や手数料といった追加コストです。商品ページでは安いと思っていたのに、決済画面で初めて送料を知らされると、ユーザーは「騙された」と感じて離脱してしまいます。
追加コストに関する改善ポイントを確認しましょう。
- 商品ページの段階で送料を明示する
- 「あと○○円で送料無料」を常に表示する
- 送料込みの価格表示を検討する
- 追加手数料(代引き手数料など)も事前に説明する
「送料別」と小さく書くだけでなく、具体的な送料金額を商品ページで確認できるようにすることが重要です。地域によって送料が異なる場合は、郵便番号を入力すると送料が表示される仕組みを設けると親切です。
また、「あと 1,000 円で送料無料」といった表示は、追加購入を促す効果もあります。送料無料のラインを超えるために関連商品を追加購入してくれるユーザーも少なくありません。
価格の透明性が、ユーザーの信頼を獲得する第一歩です。
決済手続きを簡素化する
決済手続きが複雑で長いと、途中で面倒になって離脱するユーザーが増えます。必要最小限の情報だけを求め、できるだけ少ないステップで購入を完了できるようにしましょう。
決済プロセス簡素化のポイントを見ていきます。
- 入力フォームの項目数を最小限にする
- ゲスト購入(会員登録なし)を可能にする
- 住所の自動入力機能を導入する
- 複数の決済方法を用意する
- 進捗表示で「あと何ステップか」を明示する
特に「会員登録必須」はカゴ落ちの大きな原因になります。初めて購入するユーザーにとって、会員登録は手間でしかありません。まずはゲスト購入で購入してもらい、購入完了後に「次回のために会員登録しませんか」と案内する方が、離脱を防ぎながら会員化も進められます。
入力フォームについては、「名前」「メールアドレス」「住所」「電話番号」「決済情報」の基本項目に絞り、それ以外は任意または削除することを検討してください。
モバイル対応を徹底する
現在、EC サイトへのアクセスの多くはスマートフォンからです。モバイルでの購入体験が悪いと、カゴ落ち率は大幅に上昇します。
モバイル対応のチェックポイントを確認しましょう。
| チェック項目 | 改善内容 |
|---|---|
| タップしやすさ | ボタンは最低 44px 四方を確保 |
| 入力のしやすさ | 適切なキーボードタイプを指定 |
| 表示速度 | 画像の最適化、遅延読み込みの導入 |
| 決済方法 | スマホ決済(Apple Pay 等)に対応 |
特にスマートフォンでは、住所入力が大きなハードルになります。郵便番号からの自動入力や、オートコンプリート機能を活用して、入力の手間を最小限にしましょう。
また、ページの表示速度も重要です。モバイル回線では読み込みに時間がかかることがあり、待たされるとユーザーは離脱してしまいます。画像の最適化や不要なスクリプトの削除など、表示速度の改善も検討してください。
購入直前の疑問を解消する
カートに入れた後で「本当にこの商品で大丈夫かな」「サイズは合うかな」といった疑問が生じ、購入をためらうケースがあります。この疑問を解消する手段を用意することで、離脱を防げます。
疑問解消のための施策を確認しましょう。
- 商品ページに詳細な情報(サイズ表、素材、使用方法など)を記載する
- よくある質問(FAQ)を充実させる
- 返品・交換ポリシーを明確に表示する
- カスタマーサポートへの問い合わせ手段を用意する
- チャットボットで即座に質問に答える
特に高額商品や、サイズ選びが重要なアパレル商品では、購入前の疑問解消が購入率を大きく左右します。「サイズが合わなかったらどうしよう」という不安を、返品・交換ポリシーの明示や、サイズガイドの充実で軽減しましょう。
AI チャットボットを活用した即時対応の仕組みを導入すれば、購入を迷っているユーザーの疑問にリアルタイムで答えることができます。人間のオペレーターが対応できない時間帯でも、チャットボットが「このサイズ感はどうですか」「在庫はありますか」といった質問に即座に回答できます。
信頼性を高める要素を配置する
初めて利用する EC サイトでは、「本当に商品が届くのか」「クレジットカード情報を入力しても大丈夫か」といった不安を感じるユーザーがいます。信頼性を示す要素を適切に配置することで、この不安を軽減できます。
信頼性を高める要素には以下のようなものがあります。
- SSL 証明書の表示(鍵マーク)
- 決済セキュリティの説明
- 顧客レビュー・評価の表示
- 運営会社情報の明示
- 問い合わせ先の表示(電話番号、メールアドレス)
- 返品保証の案内
特にセキュリティに関する不安は、決済画面で離脱する大きな原因になります。「SSL 暗号化通信で保護されています」「カード情報は当社では保持しません」といった説明を決済画面に表示することで、安心感を与えられます。
また、実際の顧客レビューは強力な信頼性の証明になります。商品ページだけでなく、カート画面や決済画面でも「多くのお客様にご満足いただいています」といった形でレビューの存在を示すことが効果的です。
カゴ落ちリマインドメールを活用する
カートに商品を入れたまま離脱したユーザーに対して、リマインドメールを送ることで、購入を促すことができます。適切なタイミングと内容で送ることで、一定の割合で購入につなげられます。
リマインドメールの効果的な送り方を確認しましょう。
| タイミング | 内容 |
|---|---|
| 離脱後 1 時間 | カートに商品が残っていることを通知 |
| 離脱後 24 時間 | 商品の特徴や在庫状況を再訴求 |
| 離脱後 72 時間 | 期間限定の割引クーポンを提供 |
最初のリマインドは「お忘れではありませんか」という軽いトーンで、カートに商品が残っていることを思い出させます。2 通目では商品の魅力を再訴求し、3 通目で割引を提示するという流れが一般的です。
ただし、リマインドメールを送りすぎるとスパム扱いされたり、ブランドイメージを損なったりする恐れがあります。多くても 3 通程度にとどめ、ユーザーの反応を見ながら調整してください。
また、リマインドメールはメールアドレスを取得できているユーザーにしか送れません。会員登録していないゲストユーザーや、ログインせずに閲覧しているユーザーには、別のアプローチが必要です。
離脱防止ポップアップを検討する
カートページから離脱しようとしているユーザーに対して、ポップアップを表示して引き止める方法もあります。ただし、使い方を間違えるとユーザー体験を損なうため、慎重に検討する必要があります。
離脱防止ポップアップの活用方法を見ていきましょう。
- カートに商品がある状態でタブを閉じようとしたときに表示
- 割引クーポンや送料無料のオファーを提示
- 「お困りのことはありませんか」とサポートを案内
- 表示頻度を制限し、同じユーザーに何度も表示しない
ポップアップの内容は、単に「本当に離脱しますか」と引き止めるだけでなく、具体的な価値(割引、送料無料など)を提示するか、課題解決の手段(サポート、FAQ へのリンク)を案内する方が効果的です。
ただし、ポップアップは使いすぎると逆効果になります。閉じるボタンがわかりにくい、何度も表示される、といった実装はユーザーに嫌悪感を与え、サイト自体の印象を悪くしてしまいます。
購入のハードルを下げる施策
「今すぐ買うべきか迷っている」というユーザーに対して、購入のハードルを下げる施策を用意することも効果的です。
ハードルを下げるための施策を確認しましょう。
- 初回購入限定の割引
- 返品無料の保証
- 分割払いやあと払いの導入
- お試しサイズや少量パックの用意
- 「お気に入り」機能で後で買えるようにする
特に高額商品では、「失敗したらどうしよう」という不安が購入の障壁になります。返品無料の保証があれば、「合わなかったら返品すればいい」と気軽に試せるようになります。
また、分割払いやあと払いの導入は、予算面での障壁を下げる効果があります。「今月は厳しいけど、来月なら払える」というユーザーを取り込むことができます。
izzchat の AI チャットボットを導入すれば、迷っているユーザーに対して「サイズのご相談はいかがですか」「返品ポリシーについてご説明しましょうか」といったプロアクティブなサポートを提供できます。
パーソナライズされた商品提案
カートページで関連商品やおすすめ商品を表示することで、追加購入を促しつつ、カゴ落ち防止にもつなげられます。ただし、表示の仕方を間違えると逆効果になることもあります。
商品提案のポイントを確認しましょう。
| 提案の種類 | 表示のポイント |
|---|---|
| 関連商品 | カート内商品と一緒に使えるものを提案 |
| 売れ筋商品 | 他のユーザーに人気の商品を紹介 |
| セット割引 | まとめ買いでお得になることを訴求 |
| 送料無料への誘導 | 「あと○○円」で送料無料を強調 |
ただし、カートページでの商品提案は、ユーザーを決済から遠ざける可能性もあります。提案商品を見に行ったまま戻ってこない、という状況を避けるため、カート画面を離れずに商品を追加できる仕組みや、あくまでも補助的な表示にとどめるといった工夫が必要です。
決済エラーへの対応を改善する
決済時にエラーが発生すると、ユーザーは不安になって離脱してしまうことがあります。エラーが起きた際の対応を改善することで、離脱を防ぐことができます。
決済エラー対応のポイントを確認しましょう。
- エラーメッセージをわかりやすくする
- エラーの原因と解決方法を具体的に伝える
- 別の決済方法を案内する
- サポートへの問い合わせ先を表示する
- エラーが起きても入力内容を保持する
「エラーが発生しました」という漠然としたメッセージではなく、「カード番号に誤りがあります。16 桁の数字を確認してください」のように具体的に伝えることが重要です。
また、エラーが起きるたびに入力内容がリセットされると、ユーザーは再入力の手間に嫌気がさして離脱してしまいます。エラー発生時も入力済みの内容を保持し、修正が必要な箇所だけを直せるようにしましょう。
カゴ落ち率を継続的に分析する
カゴ落ち対策は、一度実施して終わりではありません。継続的に分析と改善を繰り返すことで、少しずつ離脱率を下げていくことが重要です。
分析で確認すべき指標を確認しましょう。
- カート離脱率(カート追加数に対する購入完了数の割合)
- 離脱が多いステップ(カート画面、住所入力、決済など)
- デバイス別の離脱率(PC、スマートフォン)
- 流入経路別の離脱率(広告経由、オーガニック検索など)
- 時間帯別の離脱率
特に「離脱が多いステップ」を特定することが重要です。住所入力で多くの離脱が発生しているなら入力フォームの改善を、決済画面で離脱が多いなら決済方法の追加やセキュリティ表示の改善を検討するといった形で、ピンポイントで対策を打てます。
Google Analytics のファネル分析や、EC プラットフォームの分析機能を活用して、定期的にカゴ落ちの状況をモニタリングしましょう。
A/B テストで効果を検証する
カゴ落ち対策の施策は、どれが効果的かを事前に予測するのが難しいことがあります。A/B テストを実施して、実際のユーザーの行動を見ながら最適な施策を見つけることが重要です。
A/B テストで検証できる要素の例を挙げてみましょう。
- 送料無料の表示位置や文言
- 決済ボタンの色やサイズ
- 入力フォームの項目数や順序
- 商品提案の表示有無や位置
- リマインドメールのタイミングや内容
テストを実施する際は、一度に複数の要素を変更しないことが重要です。複数の要素を同時に変えてしまうと、どの変更が効果をもたらしたのかがわからなくなります。
また、統計的に有意な結果を得るためには、一定のサンプル数が必要です。訪問者数が少ないサイトでは結果が出るまでに時間がかかることを考慮し、十分なテスト期間を設定してください。
よくある質問と回答
EC サイトのカゴ落ち対策について、よく寄せられる質問にお答えします。
Q. カゴ落ち率の目安はどのくらいか
A. 業界平均は約 70% と言われていますが、商材や価格帯によって異なります。自社の現状を計測し、そこからどれだけ改善できるかを目標にするのが現実的です。10% の改善でも売上への影響は大きいので、小さな改善を積み重ねていくことが重要です。
Q. リマインドメールはどのくらいの効果があるか
A. 適切に実施すれば、リマインドメールの開封率は 40% 程度、そこからの購入率は 10% 程度と言われています。送信タイミングや内容によって効果は大きく変わるので、テストを繰り返して最適化することが重要です。
Q. 会員登録は必須にすべきか
A. カゴ落ち防止の観点からは、ゲスト購入を可能にすることをおすすめします。会員登録必須にすると、約 24% のユーザーがそれを理由に離脱するという調査結果もあります。購入完了後に会員登録を促す方が、離脱を防ぎながら会員化も進められます。
Q. 離脱防止ポップアップは効果があるか
A. 適切に使えば効果がありますが、使い方を間違えるとユーザー体験を損ないます。具体的な価値(割引など)を提示する、表示頻度を制限する、閉じるボタンをわかりやすくするといった配慮が必要です。
Q. 小規模な EC サイトでも対策は可能か
A. 可能です。送料の明示、決済手続きの簡素化、FAQ の充実など、コストをかけずにできる施策も多くあります。まずは現状のカゴ落ち率を把握し、最も効果がありそうな施策から順に取り組んでみてください。
まとめ、カゴ落ちを減らして売上を伸ばす
EC サイトのカゴ落ちを防ぐには、価格の透明性、決済の簡素化、疑問の解消、信頼性の向上といった複合的なアプローチが必要です。
この記事で解説した主なポイントを振り返ると、以下のようになります。
- 送料や追加コストは商品ページの段階で明示する
- 決済手続きを簡素化し、ゲスト購入を可能にする
- モバイルでの購入体験を徹底的に改善する
- 購入直前の疑問を解消する手段を用意する
- 信頼性を示す要素を適切に配置する
- リマインドメールで購入を促す
- 継続的に分析と改善を繰り返す
カゴ落ち率を 10% 改善するだけでも、売上への影響は大きいものがあります。一つひとつの施策を着実に実行し、効果を検証しながら改善を続けていきましょう。
AI チャットボットを活用した購入サポートも、カゴ落ち防止に効果的な施策の一つです。購入を迷っているユーザーの疑問にリアルタイムで答えることで、購入完了までスムーズに導くことができます。
著者

izzchat編集部
イズ君
AI チャットボットの導入・運用に関する情報を発信しています。企業の問い合わせ対応効率化をサポートします。
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