NPS(ネットプロモータースコア)とは
概要
Net Promoter Score の略で、顧客ロイヤルティを測定する指標。「このサービスを友人や同僚に勧める可能性はどのくらいですか」という質問に 0〜10 で回答してもらい、推奨度を数値化する。

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NPS とは Net Promoter Score の略で、顧客ロイヤルティ(愛着度、推奨度)を測定するための指標です。2003 年にベイン・アンド・カンパニーのフレッド・ライクヘルドによって提唱され、現在では世界中の企業で広く活用されています。
NPS の測定方法
NPS は、シンプルな 1 つの質問で測定します。
質問: 「このサービス(製品・企業)を友人や同僚に勧める可能性はどのくらいですか?」
回答: 0〜10 の 11 段階で評価
回答に基づいて、顧客を 3 つのカテゴリに分類します。
| スコア | カテゴリ | 特徴 |
|---|---|---|
| 9〜10 | 推奨者(Promoter) | 熱心なファン、積極的に推奨 |
| 7〜8 | 中立者(Passive) | 満足しているが熱心ではない |
| 0〜6 | 批判者(Detractor) | 不満がある、ネガティブな口コミも |
NPS の計算方法
NPS は、推奨者の割合から批判者の割合を引いて算出します。
計算式: NPS = 推奨者の割合(%) - 批判者の割合(%)
例えば、100 人に調査して:
- 推奨者(9〜10): 50 人(50%)
- 中立者(7〜8): 30 人(30%)
- 批判者(0〜6): 20 人(20%)
NPS = 50% - 20% = 30
NPS は -100 から +100 の範囲の値をとります。プラスであれば推奨者が批判者より多い状態です。
NPS のベンチマーク
NPS の評価基準は業界によって異なりますが、一般的な目安は以下の通りです。
| NPS | 評価 |
|---|---|
| 70 以上 | 非常に良い |
| 50〜69 | 良い |
| 30〜49 | 普通 |
| 0〜29 | 改善が必要 |
| 0 未満 | 問題あり |
ただし、業界によって平均値が大きく異なるため、同業他社との比較や自社の推移を追うことが重要です。
NPS が重視される理由
NPS が多くの企業で重視される理由を紹介します。
シンプルで測定しやすい:
- 1 つの質問で測定可能
- 回答者の負担が少ない
- 定期的な測定が容易
ビジネス成果との相関:
- 売上成長との相関が確認されている
- 顧客の行動(継続、解約)を予測
- 口コミ効果の指標になる
改善活動につなげやすい:
- 顧客を分類して分析
- 批判者への対策を検討
- 推奨者を増やす施策立案
NPS 調査の実施方法
NPS 調査を効果的に実施するためのポイントを紹介します。
調査のタイミング:
- サービス利用後
- 定期的(四半期ごとなど)
- 特定のイベント後(購入、サポート対応後)
追加質問の設計:
- 「そのスコアをつけた理由は何ですか?」
- 自由記述で改善のヒントを収集
- カテゴリ別の評価を追加
回収率の向上:
- 調査の目的を説明
- 回答にかかる時間を明示
- モバイル対応のフォーム
NPS と顧客満足度の違い
NPS と顧客満足度(CSAT)は、どちらも顧客の評価を測る指標ですが、観点が異なります。
| 項目 | NPS | CSAT |
|---|---|---|
| 測定対象 | 推奨意向(ロイヤルティ) | 満足度 |
| 質問 | 「友人に勧めますか」 | 「満足していますか」 |
| 時間軸 | 中長期的な関係性 | 特定の接点での評価 |
| 予測力 | 継続・離脱の予測 | 直近の体験の評価 |
両方を組み合わせて活用することで、多角的に顧客を理解できます。
カスタマーサポートと NPS
カスタマーサポートの品質は、NPS に大きな影響を与えます。
サポート対応後の NPS 調査:
- 対応完了後に調査を実施
- サポート体験に対する評価を収集
- 改善ポイントを特定
サポートが NPS に与える影響:
- 良いサポート体験 → 推奨者を増やす
- 悪いサポート体験 → 批判者を生む
- トラブル対応が特に重要
サポート体験で NPS を上げるポイント:
- 迅速な対応
- 一度で問題を解決
- 親身な対応
- 期待を超えるサービス
チャットボットと NPS
AI チャットボットは、NPS の向上に貢献できます。
| 施策 | NPS への効果 |
|---|---|
| 即時対応 | 待ち時間解消による満足度向上 |
| 24 時間対応 | いつでも問題解決できる安心感 |
| 一貫した品質 | 対応のばらつきを解消 |
| 自己解決の促進 | 顧客の手間を削減 |
ただし、チャットボットで解決できない場合のエスカレーションが不十分だと、逆に批判者を生む可能性があります。適切な有人対応への引き継ぎが重要です。
NPS データの活用方法
収集した NPS データを活用する方法を紹介します。
批判者へのフォローアップ:
- 低スコアの顧客に個別にコンタクト
- 不満の原因を詳しくヒアリング
- 改善策を提示し、関係を修復
推奨者の活用:
- 事例やレビューへの協力依頼
- 紹介プログラムの案内
- ベータテストへの参加依頼
傾向分析:
- セグメント別の NPS 比較
- 時系列での推移を追跡
- 特定のイベントとの相関分析
NPS 向上の施策
NPS を向上させるための具体的な施策を紹介します。
批判者を減らす:
- 不満の原因を特定し解消
- 顧客の声に基づく改善
- フォローアップの強化
中立者を推奨者に:
- 期待を超える体験を提供
- パーソナライズされた対応
- ロイヤルティプログラムの導入
推奨者を維持:
- 継続的な価値提供
- 特別な特典や情報の提供
- コミュニティの構築
NPS 運用の注意点
NPS を運用する際の注意点をまとめます。
数値だけを追わない:
- スコアの背景にある理由を重視
- 自由記述から改善のヒントを得る
- 数値操作(スコア誘導)は避ける
定期的に測定:
- 一度だけでなく継続的に測定
- 改善施策の効果を検証
- トレンドを把握
行動につなげる:
- 測定だけで終わらせない
- 具体的な改善活動を実施
- 全社で結果を共有
まとめ
NPS は、顧客ロイヤルティを測定するシンプルかつ強力な指標です。「友人に勧めるか」という質問に対する回答から、推奨者と批判者の割合を算出し、顧客との関係性を数値化します。
カスタマーサポートの品質は NPS に大きな影響を与えます。迅速な対応、一度での問題解決、親身な対応が推奨者を増やすポイントです。チャットボットを活用することで、即時対応や 24 時間対応を実現し、顧客体験を向上させることができます。
NPS は測定するだけでなく、データを分析し、具体的な改善活動につなげることが重要です。批判者へのフォローアップ、中立者の推奨者への転換、推奨者の維持という観点で施策を検討しましょう。