CES(顧客努力指標)とは
概要
Customer Effort Score の略で、顧客がサービス利用や問題解決にどの程度の労力を要したかを測る指標。「簡単に解決できたか」を評価し、顧客体験の改善に活用される。

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CES とは Customer Effort Score の略で、日本語では「顧客努力指標」と訳されます。顧客がサービスを利用したり、問題を解決したりする際に、どの程度の労力(努力)を要したかを測定する指標です。「簡単さ」を重視した顧客体験の改善に活用されます。
CES の背景
CES が注目される背景を説明します。
研究による発見:
- 顧客ロイヤルティに最も影響するのは「労力の少なさ」
- 期待を超える体験よりも「手間をかけさせないこと」が重要
- 努力を要する体験は離脱につながる
従来の考え方との違い:
- 従来: 顧客を感動させることが重要
- CES の視点: 顧客に手間をかけさせないことが重要
CES の測定方法
CES の基本的な測定方法を紹介します。
質問例: 「問題を解決するために、どの程度の労力が必要でしたか?」
回答選択肢(7 段階の場合):
- 7: 非常に簡単だった
- 6: 簡単だった
- 5: やや簡単だった
- 4: どちらでもない
- 3: やや大変だった
- 2: 大変だった
- 1: 非常に大変だった
CES の計算方法
CES スコアの計算方法を紹介します。
平均スコア方式: CES = 回答スコアの合計 ÷ 回答者数
パーセンテージ方式: CES(%)= 簡単と回答した人数 ÷ 回答者総数 × 100
7 段階評価の場合、5 以上を「簡単」としてカウントすることが多いです。
CES、CSAT、NPS の比較
3 つの顧客指標を比較します。
| 項目 | CES | CSAT | NPS |
|---|---|---|---|
| 測定対象 | 労力、簡単さ | 満足度 | 推奨度 |
| 質問 | 「簡単でしたか」 | 「満足していますか」 | 「勧めますか」 |
| 視点 | プロセス | 結果 | 関係性 |
| 予測力 | 離脱行動 | 現在の評価 | 長期的ロイヤルティ |
CES が高くなる要因
CES(労力)が高くなる(顧客に手間がかかる)要因をまとめます。
サポート対応:
- 何度も問い合わせが必要
- 長時間待たされる
- 担当者が変わるたびに説明が必要
- たらい回しにされる
自己解決:
- FAQ で答えが見つからない
- ヘルプページが分かりにくい
- 手続きが複雑
- 必要な情報にたどり着けない
システム・プロセス:
- 操作が難しい
- 手順が多い
- 入力項目が多い
- エラーが発生する
CES を改善する方法
CES を改善し、顧客の労力を減らす方法を紹介します。
サポートの改善:
- 一度で問題を解決する(FCR 向上)
- 待ち時間を短縮する
- 情報を引き継ぎ、繰り返しの説明をさせない
- 適切な担当者に最初からつなげる
自己解決の強化:
- FAQ を充実させる
- 検索精度を向上させる
- 分かりやすいヘルプページ
- チャットボットによる誘導
プロセスの簡素化:
- 手順を減らす
- 入力項目を最小限に
- エラーを減らす
- モバイル対応
カスタマーサポートにおける CES
カスタマーサポートの品質評価に CES は特に有効です。
測定タイミング:
- サポート対応完了後
- 問題解決後
- チャット終了後
質問例:
- 「問題解決は簡単でしたか?」
- 「サポートへの連絡は簡単でしたか?」
- 「必要な情報を見つけるのは簡単でしたか?」
チャットボットと CES
チャットボットは CES の改善に大きく貢献します。
| 改善ポイント | 効果 |
|---|---|
| 即時対応 | 待ち時間をゼロに |
| 24 時間対応 | いつでも問い合わせ可能 |
| FAQ への誘導 | 素早く回答に到達 |
| 情報収集 | 有人対応前に情報を取得 |
チャットボットで解決できれば、顧客は最小限の労力で問題を解決できます。解決できない場合も、情報を引き継いで有人対応につなげることで、繰り返しの説明を防げます。
CES の活用事例
CES を活用した改善事例を紹介します。
コールセンター:
- IVR のメニューを簡素化
- コールバック機能の導入
- オペレーターへの即時接続オプション
Web サイト:
- FAQ の検索機能改善
- ヘルプページの構成見直し
- チャットボットの導入
手続き:
- オンライン手続きの簡素化
- 必要書類の削減
- ワンストップサービスの実現
CES と顧客ロイヤルティ
CES と顧客ロイヤルティの関係について説明します。
研究結果:
- 低い労力の体験をした顧客の 94% が再購入意向
- 高い労力の体験をした顧客の 81% がネガティブな口コミ
- 労力を減らすことが離脱防止に効果的
ロイヤルティへの影響:
- 手間がかからない → 継続利用
- 手間がかかる → 解約、離脱
CES 調査の設計
効果的な CES 調査を設計するためのポイントを紹介します。
質問のバリエーション:
- 「○○は簡単でしたか?」
- 「○○にどの程度の労力が必要でしたか?」
- 「○○はスムーズにできましたか?」
追加質問:
- 「何が大変でしたか?」(自由回答)
- 「どうすれば簡単になりますか?」
- 具体的な改善のヒントを収集
注意点:
- 対象を明確に(何についての労力か)
- タイミングを適切に(体験直後)
- 回答しやすい形式
CES の限界
CES にも限界があります。
測定の限界:
- 「労力」の解釈が人によって異なる
- プロセスのみを測定(結果は測れない)
- 感情的な満足度は測れない
補完する指標:
- CSAT: 結果への満足度
- NPS: 全体的なロイヤルティ
- 解決率: 実際に解決できたか
まとめ
CES(顧客努力指標)は、顧客がサービス利用や問題解決に要した労力を測定する指標です。「顧客に手間をかけさせないこと」が顧客ロイヤルティに大きく影響するという研究に基づき、注目されています。
カスタマーサポートでは、一度で解決する、待たせない、たらい回しにしないことが CES 改善のポイントです。チャットボットは、即時対応と FAQ への誘導により、顧客の労力を大幅に削減できます。
CES は CSAT や NPS と組み合わせて活用することで、顧客体験をより多角的に把握できます。顧客の「手間」を減らし、スムーズな体験を提供することで、継続利用と顧客ロイヤルティの向上につなげましょう。
関連用語
CSAT(顧客満足度スコア)
Customer Satisfaction Score の略で、顧客満足度を数値化した指標。特定の接点やサービス全体に対する満足度を 5 段階などで評価してもらい、満足している顧客の割合を算出する。
NPS(ネットプロモータースコア)
Net Promoter Score の略で、顧客ロイヤルティを測定する指標。「このサービスを友人や同僚に勧める可能性はどのくらいですか」という質問に 0〜10 で回答してもらい、推奨度を数値化する。
顧客体験(CX)
Customer Experience の略。顧客が企業やブランドとの接点全体を通じて得る体験の総称。認知から購入、利用、サポートまでのすべての体験が含まれる。