カスタマーサクセスとは
概要
顧客が製品やサービスを通じて目標を達成し、成功できるよう支援する活動。受け身のサポートではなく、能動的に顧客の成功をリードする役割を担う。SaaS ビジネスで特に重要視される。

お問い合わせ対応を自動化
AI チャットボット izzchat デモを無料で試す
カスタマーサクセスとは、顧客が製品やサービスを活用して目標を達成し、成功できるよう能動的に支援する活動および組織のことです。「顧客の成功」を追求することで、結果として自社の成長(継続利用、アップセル)につなげる考え方です。
カスタマーサクセスとカスタマーサポートの違い
カスタマーサクセスとカスタマーサポートは、混同されやすいですが異なる役割を持ちます。
| 項目 | カスタマーサポート | カスタマーサクセス |
|---|---|---|
| 姿勢 | 受動的(問い合わせ対応) | 能動的(先回りして支援) |
| 目的 | 問題の解決 | 顧客の成功 |
| 起点 | 顧客からの連絡 | 顧客の状況把握 |
| 指標 | 対応時間、解決率 | 継続率、LTV |
| 関係性 | 一時的 | 長期的 |
両者は対立するものではなく、相互に補完し合う関係です。
カスタマーサクセスが重要な理由
カスタマーサクセスが重視される背景を説明します。
SaaS・サブスクリプションの普及:
- 契約後も継続利用してもらう必要がある
- 解約されると収益に直接影響
- LTV(顧客生涯価値)の最大化が重要
顧客獲得コストの上昇:
- 新規獲得コストは既存維持の 5〜25 倍
- 既存顧客からの収益が重要に
- アップセル・クロスセルの機会
競争の激化:
- 差別化が難しい市場
- 顧客体験が競争優位に
- 成功体験がスイッチングコストに
カスタマーサクセスの主な活動
カスタマーサクセスが行う主な活動を紹介します。
オンボーディング:
- 導入初期のサポート
- 初期設定の支援
- 使い方のトレーニング
活用促進:
- 利用状況のモニタリング
- 活用のベストプラクティス提案
- 新機能の案内
定期的なフォロー:
- 定期ミーティング
- ビジネスレビュー
- 課題のヒアリング
解約防止:
- 解約リスクの早期検知
- 不満への対応
- 価値の再確認
カスタマーサクセスの KPI
カスタマーサクセスの効果を測定する KPI を紹介します。
| KPI | 説明 |
|---|---|
| チャーンレート | 解約率 |
| NRR(売上継続率) | 既存顧客からの売上維持・拡大率 |
| LTV | 顧客生涯価値 |
| NPS | 推奨度 |
| アクティブ率 | サービスを活用している顧客の割合 |
| オンボーディング完了率 | 導入を完了した顧客の割合 |
ヘルススコア
カスタマーサクセスでは「ヘルススコア」という指標がよく使われます。
ヘルススコアとは:
- 顧客の「健康状態」を数値化したもの
- 解約リスクや拡大機会を予測
- 複数の指標を組み合わせて算出
ヘルススコアの構成要素例:
- 利用頻度、ログイン回数
- 機能の活用度
- サポートへの問い合わせ状況
- NPS、満足度
- 契約更新までの期間
- 担当者の変更有無
カスタマーサクセスマネージャー(CSM)
カスタマーサクセスを担当する役職について説明します。
CSM の役割:
- 担当顧客の成功を支援
- 顧客との関係構築
- 社内の橋渡し(製品、営業、サポート)
- 解約防止、アップセル促進
CSM に求められるスキル:
- コミュニケーション能力
- 問題解決能力
- データ分析力
- 製品・業界知識
- プロジェクトマネジメント
カスタマーサクセスとサポートの連携
カスタマーサクセスとカスタマーサポートの連携が重要です。
連携のポイント:
- 問い合わせ情報の共有
- 顧客の課題を CSM に報告
- 解約リスクの早期検知
- オンボーディング期間のサポート強化
情報共有の例:
- サポートで検知した不満を CSM に共有
- CSM から顧客の状況をサポートに共有
- 共通の CRM で顧客情報を一元管理
チャットボットとカスタマーサクセス
チャットボットはカスタマーサクセスの取り組みを支援します。
| 活用シーン | 効果 |
|---|---|
| オンボーディング | 使い方の案内、FAQ 対応 |
| 活用促進 | 機能の紹介、ヒントの提供 |
| 状況把握 | 対話から課題を検知 |
| 軽微な問題解決 | CSM の負荷軽減 |
チャットボットが定型的な対応を担うことで、CSM はより戦略的な活動に集中できます。
カスタマーサクセスの組織体制
カスタマーサクセス組織の構築について説明します。
組織モデル:
- ハイタッチ: 大口顧客に専任 CSM を配置
- ロータッチ: 中規模顧客にチームで対応
- テックタッチ: 小規模顧客にツールで対応
役割分担:
- CSM: 顧客の成功支援
- オペレーション: データ分析、ツール管理
- イネーブルメント: 教育、コンテンツ作成
カスタマーサクセスの導入ステップ
カスタマーサクセスを始める際のステップを紹介します。
ステップ 1: 目的の明確化
- なぜカスタマーサクセスが必要か
- 達成したい目標は何か
ステップ 2: 顧客理解
- 顧客にとっての「成功」とは何か
- 現状の課題は何か
ステップ 3: 体制構築
- 担当者の配置
- サポートとの連携体制
ステップ 4: プロセス設計
- オンボーディングの流れ
- 定期フォローの内容
ステップ 5: 指標の設定
- KPI の定義
- ヘルススコアの設計
まとめ
カスタマーサクセスは、顧客が製品やサービスを通じて成功できるよう能動的に支援する活動です。受け身のサポートとは異なり、先回りして顧客の成功をリードする役割を担います。
SaaS やサブスクリプションビジネスでは、継続利用と LTV 最大化のためにカスタマーサクセスが不可欠です。オンボーディング、活用促進、解約防止など、顧客ライフサイクル全体を通じて支援します。
チャットボットは、オンボーディングや定型的な問い合わせ対応を自動化し、CSM がより戦略的な活動に集中できる環境を作ります。カスタマーサポートと連携しながら、顧客の成功を実現していきましょう。