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業務プロセス

オンボーディングとは

概要

新規顧客や新入社員がサービスや組織にスムーズに適応できるよう支援するプロセス。顧客向けでは導入支援、社員向けでは入社時研修を指すことが多い。

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オンボーディングとは、新しい顧客や社員が製品・サービス・組織にスムーズに適応し、価値を実感できるよう支援するプロセスのことです。「乗船させる」という意味の英語 "onboard" に由来し、新しい環境への「乗り込み」を支援するイメージです。

オンボーディングの 2 つの意味

オンボーディングは、文脈によって 2 つの意味で使われます。

顧客向けオンボーディング:

  • 新規顧客の導入支援
  • サービスの使い方を教える
  • 初期設定のサポート
  • 価値を実感してもらう

社員向けオンボーディング:

  • 新入社員の入社時研修
  • 業務への早期適応支援
  • 組織文化の理解促進
  • 定着率の向上

この記事では主に「顧客向けオンボーディング」について解説しますが、基本的な考え方は共通しています。

顧客オンボーディングが重要な理由

顧客オンボーディングは、ビジネスの成功に直結する重要なプロセスです。

解約防止:

  • 初期段階での離脱を防ぐ
  • 「使いこなせない」を解消
  • 価値を実感させる

LTV の向上:

  • 早期に成功体験を提供
  • 継続利用につなげる
  • アップセルの土台を作る

サポートコスト削減:

  • 初期の問い合わせを削減
  • 自己解決能力を育成
  • 同じ質問の繰り返しを防ぐ

SaaS ビジネスでは「契約後 90 日間」が特に重要とされ、この期間に顧客が価値を実感できないと解約リスクが高まります。

オンボーディングのプロセス

顧客オンボーディングの一般的なプロセスを紹介します。

フェーズ目的主な施策
ウェルカム歓迎と期待値設定ウェルカムメール、導入ガイド
セットアップ初期設定の完了設定支援、チュートリアル
基本習得主要機能の理解操作ガイド、ハンズオン
活用促進継続的な利用活用事例、ベストプラクティス
自立自己解決できる状態FAQ、ヘルプセンター

オンボーディングの施策例

効果的なオンボーディングを実現するための具体的な施策を紹介します。

コンテンツ提供:

  • ウェルカムメールシリーズ
  • スタートアップガイド
  • 操作マニュアル、動画
  • FAQ、ヘルプページ

人的サポート:

  • キックオフミーティング
  • 導入支援担当(CSM)の配置
  • 定期的なフォローアップ
  • 活用相談会

プロダクト内施策:

  • プロダクトツアー
  • チュートリアル機能
  • チェックリスト表示
  • ヒント・ポップアップ

オンボーディングと問い合わせ対応

オンボーディング期間中の問い合わせ対応は特に重要です。

オンボーディング期間の特徴:

  • 問い合わせが集中しやすい
  • 基本的な質問が多い
  • 初期印象を形成する時期
  • 対応次第で継続率が変わる

効果的な対応のポイント:

  • 迅速に回答する
  • 丁寧に操作方法を説明
  • 追加で役立つ情報を提供
  • フォローアップを行う

この時期の対応品質が、顧客の成功と継続利用に大きく影響します。

チャットボットとオンボーディング

AI チャットボットは、オンボーディングを効率化する有効なツールです。

活用シーンチャットボットの効果
初期設定の案内ステップごとにガイド
よくある質問への回答即座に回答を提供
操作方法の説明具体的な手順を案内
困ったときの対応24 時間サポート

チャットボットが基本的な質問に対応することで、カスタマーサクセス担当者は より複雑な課題や戦略的な支援に集中できます。また、顧客は待ち時間なく疑問を解消でき、オンボーディングがスムーズに進みます。

オンボーディングの成功指標

オンボーディングの効果を測定するための指標を紹介します。

アクティベーション率:

  • 初期設定を完了した割合
  • 主要機能を使い始めた割合

Time to Value:

  • 価値を実感するまでの期間
  • 最初の成功体験までの日数

オンボーディング完了率:

  • オンボーディングプログラムを完了した割合
  • 各ステップの完了率

早期解約率:

  • 契約後 30 日/90 日以内の解約率
  • オンボーディング期間中の離脱率

オンボーディングの課題と対策

オンボーディングでよくある課題とその対策をまとめます。

顧客が途中で離脱する:

  • 原因: 手順が複雑、価値が見えない
  • 対策: ステップを簡素化、早期に成功体験を

問い合わせが多すぎる:

  • 原因: ガイドが不十分、UIがわかりにくい
  • 対策: FAQ 充実、チャットボット導入

個別対応のコストが高い:

  • 原因: 人的リソースの限界
  • 対策: セルフサービス化、自動化

効果が測定できない:

  • 原因: 指標が設定されていない
  • 対策: KPI を定義し、定期的に測定

BtoB SaaS のオンボーディング

BtoB SaaS におけるオンボーディングは、特に重要です。

BtoB 特有のポイント:

  • 複数ユーザーへの展開が必要
  • 社内での定着支援
  • 既存業務との統合
  • 経営層への報告対応

オンボーディング体制の例:

  • カスタマーサクセスマネージャー(CSM)
  • テクニカルサポート
  • トレーニング担当
  • オンボーディングプログラム

BtoB では「導入担当者」だけでなく「実際のユーザー」への支援も重要です。組織全体でサービスが活用されるよう、段階的に支援を行います。

オンボーディングプログラムの設計

効果的なオンボーディングプログラムを設計する手順を紹介します。

ステップ 1: ゴールの定義

  • 顧客にとっての「成功」とは何か
  • どの状態になれば価値を実感するか

ステップ 2: マイルストーンの設定

  • ゴールに至るまでのステップ
  • 各ステップの完了条件

ステップ 3: コンテンツの作成

  • 各ステップに必要な情報
  • ガイド、動画、FAQ

ステップ 4: 支援体制の構築

  • 人的サポートの範囲
  • 自動化できる部分

ステップ 5: 効果測定と改善

  • KPI のモニタリング
  • フィードバックの収集
  • プログラムの改善

まとめ

オンボーディングは、新規顧客がサービスの価値を実感し、継続利用につなげるための重要なプロセスです。契約後の初期段階で適切な支援を行うことで、解約を防ぎ、LTV を向上させることができます。

オンボーディング期間中は問い合わせが集中しやすいため、FAQ の整備やチャットボットの活用が効果的です。基本的な質問を自動化することで、より複雑な課題への対応にリソースを集中できます。

顧客の「成功」をゴールに設定し、そこに至るまでのステップを設計しましょう。効果を測定しながら継続的に改善することで、オンボーディングの質を高めていくことができます。