一次解決率(FCR)とは
概要
First Contact Resolution の略で、顧客からの問い合わせを最初の対応で解決できた割合。カスタマーサポートの品質と効率を測る重要な指標。

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一次解決率(FCR)とは、First Contact Resolution の略で、顧客からの問い合わせを最初の対応で解決できた割合を示す指標です。「初回解決率」「ワンコール解決率」とも呼ばれ、カスタマーサポートの品質と効率を測る重要な KPI として広く活用されています。
一次解決率の計算方法
FCR は以下の計算式で算出します。
計算式: FCR(%)= 初回対応で解決した件数 ÷ 総問い合わせ件数 × 100
例えば、月間 1,000 件の問い合わせがあり、そのうち 750 件が初回対応で解決した場合: FCR = 750 ÷ 1,000 × 100 = 75%
「解決」の定義
FCR を測定する際、「解決」の定義を明確にすることが重要です。
解決の定義例:
- 顧客が「解決した」と回答した
- 同じ内容での再問い合わせがない(一定期間内)
- 担当者が「解決」としてクローズした
- 顧客アンケートで満足と回答
一般的には「顧客視点での解決」を重視し、顧客が再度問い合わせる必要がない状態を「解決」と定義します。
一次解決率が重要な理由
FCR が重視される理由は以下の通りです。
顧客満足度との相関:
- 一度で解決すると満足度が高い
- 何度も問い合わせるストレスを解消
- 「たらい回し」を防止
コスト効率:
- 再問い合わせが減少
- 対応工数の削減
- オペレーターの負荷軽減
ビジネスへの影響:
- 顧客ロイヤルティの向上
- 解約率の低下
- 口コミ・評判への影響
一次解決率の業界平均
FCR の業界平均は、業種や問い合わせ内容によって異なりますが、一般的な目安は以下の通りです。
| 業界・チャネル | FCR の目安 |
|---|---|
| コールセンター全般 | 70〜75% |
| テクニカルサポート | 65〜70% |
| 金融・保険 | 75〜80% |
| Eコマース | 70〜75% |
| チャットサポート | 70〜80% |
80% 以上であれば非常に良い水準、60% 以下であれば改善が必要とされています。
一次解決率を向上させる方法
FCR を向上させるための具体的な施策を紹介します。
オペレーターのスキル向上:
- 製品・サービス知識の強化
- 問題解決スキルの研修
- 権限の拡大(判断できる範囲を広げる)
ナレッジの整備:
- FAQ、マニュアルの充実
- 検索しやすいナレッジベース
- 過去の対応事例の共有
ツール・システムの改善:
- 顧客情報への素早いアクセス
- 過去の問い合わせ履歴の参照
- 関連部門との連携強化
プロセスの見直し:
- 不要なエスカレーションの削減
- 権限の委譲
- 初回対応で解決できる範囲の拡大
一次解決率と平均対応時間の関係
FCR と AHT(平均対応時間)は、トレードオフの関係になることがあります。
FCR を優先すると:
- 丁寧に対応するため時間がかかる
- 一度で解決するため総対応時間は減少
- 顧客満足度は向上
AHT を優先すると:
- 対応を早く切り上げる
- 再問い合わせが増える可能性
- 顧客満足度が低下する可能性
バランスの取り方:
- FCR を優先しつつ、効率化を図る
- 問い合わせ内容に応じて対応を変える
- 総合的なコストで評価
チャットボットと一次解決率
AI チャットボットは、FCR の向上に貢献できます。
| 効果 | 詳細 |
|---|---|
| 定型質問の即時解決 | FAQ 系の問い合わせを一度で解決 |
| 情報収集 | 有人対応前に必要情報を収集 |
| 24 時間対応 | いつでも回答を提供 |
| 回答品質の均一化 | 常に正確な情報を提供 |
チャットボットで解決できる問い合わせを増やすことで、全体の FCR を向上させることができます。ただし、解決できない場合のスムーズなエスカレーションも重要です。
一次解決率が低い原因
FCR が低い場合の主な原因を分析します。
オペレーター起因:
- 知識不足で回答できない
- 権限がなく判断できない
- 確認に時間がかかり折り返しに
システム・プロセス起因:
- 情報へのアクセスが困難
- 部門間の連携不足
- エスカレーションルールが複雑
問い合わせ内容起因:
- 技術的に複雑な問題
- 調査が必要な案件
- 複数部門にまたがる問題
一次解決率の測定方法
FCR を正確に測定するための方法を紹介します。
顧客アンケート:
- 対応後に「解決しましたか」と質問
- 最も正確だが回答率に課題
再コール追跡:
- 同じ顧客からの一定期間内の再問い合わせを追跡
- システムで自動計測可能
担当者の判断:
- 担当者が「解決」としてクローズ
- 主観が入る可能性がある
品質モニタリング:
- 通話やチャットをレビュー
- サンプリングによる評価
一次解決率のセグメント分析
FCR を詳しく分析するためのセグメント例を紹介します。
- チャネル別: 電話、メール、チャット
- 問い合わせ種別: 質問、トラブル、要望
- 製品・サービス別: 製品 A、製品 B
- 担当者別: オペレーター A、B、C
- 顧客セグメント別: 新規、既存、VIP
セグメント別に分析することで、改善すべきポイントを特定できます。
まとめ
一次解決率(FCR)は、問い合わせを最初の対応で解決できた割合を示す重要な指標です。FCR が高いと顧客満足度が向上し、対応コストも削減できます。
向上のポイントは、オペレーターのスキル向上、ナレッジの整備、ツールの改善、プロセスの見直しです。チャットボットを活用することで、定型的な問い合わせの即時解決と、有人対応の品質向上を両立できます。
FCR を測定する際は「解決」の定義を明確にし、顧客視点で評価することが重要です。セグメント別に分析し、改善すべきポイントを特定して、継続的に FCR の向上に取り組みましょう。