SLA(サービスレベル契約)とは
概要
Service Level Agreement の略で、サービス提供者と顧客の間で合意するサービス品質の基準。稼働率、対応時間、解決時間などの具体的な数値目標と、未達時の対応を定める。

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SLA とは Service Level Agreement の略で、日本語では「サービスレベル契約」または「サービス品質保証」と訳されます。サービス提供者と顧客の間で、サービスの品質基準を具体的な数値で合意するものです。
SLA の目的
SLA を設定する主な目的は以下の通りです。
顧客にとってのメリット:
- 期待できるサービス品質が明確
- 問題発生時の対応が保証される
- サービス選定の判断基準になる
サービス提供者にとってのメリット:
- サービス品質の目標が明確
- 顧客との認識齟齬を防止
- 品質管理の指針になる
SLA で定める主な項目
SLA で一般的に定められる項目を紹介します。
| 項目 | 内容例 |
|---|---|
| 稼働率(アップタイム) | 99.9% 以上の稼働を保証 |
| 対応時間 | 問い合わせ受付後 1 時間以内に返信 |
| 解決時間 | 報告から 24 時間以内に解決 |
| 応答時間 | システムの応答を 3 秒以内 |
| サポート対応時間 | 平日 9:00〜18:00 |
| 障害復旧時間 | 障害発生から 4 時間以内に復旧 |
カスタマーサポートの SLA
カスタマーサポートにおける SLA の例を詳しく紹介します。
一次返信時間(First Response Time):
- 問い合わせを受けてから最初の返信までの時間
- 例: 「メールでの問い合わせには 4 時間以内に返信」
解決時間(Resolution Time):
- 問い合わせから問題解決までの時間
- 例: 「一般的な問い合わせは 24 時間以内に解決」
対応可能時間(Service Hours):
- サポートを提供する時間帯
- 例: 「24 時間 365 日対応」または「平日 9:00〜18:00」
優先度別の対応時間:
- 緊急度に応じた対応時間の設定
- 例: 緊急は 1 時間、高は 4 時間、中は 8 時間、低は 24 時間
SLA の優先度設定
問い合わせの優先度に応じて、異なる SLA を設定することが一般的です。
| 優先度 | 状況例 | 一次返信 | 解決目標 |
|---|---|---|---|
| 緊急(P1) | サービス全体の停止 | 15 分 | 4 時間 |
| 高(P2) | 主要機能の障害 | 1 時間 | 8 時間 |
| 中(P3) | 一部機能の問題 | 4 時間 | 24 時間 |
| 低(P4) | 質問、要望 | 8 時間 | 72 時間 |
SLA 未達時の対応
SLA を満たせなかった場合の対応も、あらかじめ定めておくことが重要です。
一般的な対応:
- サービスクレジット(利用料の返金・割引)
- ペナルティの支払い
- 改善計画の提出
- 定期報告の実施
サービスクレジットの例:
- 稼働率 99.9% 未達: 月額料金の 10% を返金
- 稼働率 99.0% 未達: 月額料金の 25% を返金
- 稼働率 95.0% 未達: 月額料金の 50% を返金
SLA の運用管理
SLA を効果的に運用するためのポイントを紹介します。
測定と可視化:
- SLA 達成率のリアルタイム監視
- ダッシュボードでの可視化
- 定期的なレポート作成
アラート設定:
- SLA 期限が近づいた案件の通知
- 未達時の即時アラート
- エスカレーションの自動化
継続的な改善:
- 未達の原因分析
- プロセスの見直し
- 目標値の適正化
チャットボットと SLA
AI チャットボットは、SLA の達成に大きく貢献します。
| SLA 項目 | チャットボットの効果 |
|---|---|
| 一次返信時間 | 即座に返信(待ち時間ゼロ) |
| 対応可能時間 | 24 時間 365 日対応 |
| 解決時間 | 簡単な質問を即時解決 |
| 対応キャパシティ | 同時に複数の問い合わせに対応 |
チャットボットが定型的な問い合わせを処理することで、有人対応のリソースを複雑な案件に集中でき、全体の SLA 達成率を向上させることができます。
社内 SLA の設定
社内の部門間でも SLA を設定することがあります。
社内 SLA の例:
- IT ヘルプデスク: 社員からの問い合わせに 2 時間以内に対応
- 人事部門: 各種申請を 3 営業日以内に処理
- 経理部門: 経費精算を 5 営業日以内に完了
社内 SLA のメリット:
- 部門間の期待値を明確化
- 業務の優先順位付けに活用
- サービス品質の標準化
SLA 設定時の注意点
SLA を設定する際の注意点をまとめます。
現実的な目標設定:
- 達成不可能な目標は設定しない
- 現状の実績を踏まえる
- 段階的に目標を引き上げる
除外条件の明記:
- 計画メンテナンスは除外
- 顧客起因の問題は除外
- 不可抗力(天災など)は除外
測定方法の明確化:
- 何をもって「対応開始」とするか
- 何をもって「解決」とするか
- 測定に使用するツールやデータ
SLA と KPI の違い
SLA と KPI は混同されやすいですが、異なる概念です。
SLA(Service Level Agreement):
- 顧客との「約束」
- 契約に基づく品質保証
- 未達時はペナルティの可能性
KPI(Key Performance Indicator):
- 内部の「目標指標」
- 業務改善のための管理指標
- 目標未達は改善の契機
SLA は顧客への約束であり、KPI は社内の目標管理ツールという位置づけです。SLA を達成するために、より高い水準の KPI を設定することが一般的です。
まとめ
SLA は、サービス提供者と顧客の間でサービス品質を合意する契約です。稼働率、対応時間、解決時間などの具体的な数値目標を定め、期待値を明確にします。
カスタマーサポートでは、一次返信時間、解決時間、対応可能時間などを SLA として設定することが一般的です。優先度に応じて異なる目標を設定し、効率的なリソース配分を行います。
チャットボットを活用することで、一次返信時間の短縮や 24 時間対応を実現し、SLA 達成率を向上させることができます。SLA を適切に設定・運用し、顧客満足度の向上につなげましょう。